ラブカは静かに弓を持つ安壇 美緒著
なんだろう。最近読みだしたら止まらなくなってしまう本によく出会う。
チェロという楽器、あまり馴染みは無かったが、音色には温かみと豊かさがあり、低音域では力強い響き、中音域では歌うようなメロディーが表現できるのだという。また、人間の声に近い音色とも言われているのだとか。
そんなチェロにまつわる話だ。
全日本音楽著作権連盟とミカサ音楽教室のレッスンにおける楽曲演奏に関する著作権について、著作権連盟はミカサに対して使用料を支払わなければならない、という問題提起にて、訴訟になるかもしれない。
その音楽教室にスパイとして習いに行けと命じられる職員が主人公。
彼は、かつて5歳から12歳までチェロを習っていたので、楽譜さえあれば、初見でもそれなりに弾ける。
平日は著作権の連盟の資料室で勤務し、金曜日の定時後、ミカサ音楽教室に通う生活を送る。そこでクラシックではなく、現代のポピュラーな音楽を習いたいとリクエストする。しかも、そこでやり取りは全て胸ポケットに入れた隠しレコーダーで録音しなかればならない。
そこでチェロに関わるうちにどんどん熱中し、また向上していき、他の生徒仲間達とも一緒に飲みに行くなど仲良くなっていく。
友達のいない彼にとって、その場所は代えがたいものになって行く。
そもそもこういう仕事をやらせるってどうなんだ。
そこで習ったことのある人に証言してもらうだけでも充分じゃないかとも思えるが、
現に今習っている人の生の録音があればさすがに裁判では有利なのだろう。
まさに日本著作権協会とヤマハ音楽教室の訴訟をそのままなぞった形だが、そこでもこんなことが行われていたのだろうか。
人に人を裏切らせる事を仕事として命じるなんて、まぁあり得ないわな。