イラストレイテッド・ブルース


一巨大企業が世界を支配する世界。

地球の大半がそのコングロマリットの私有地。

自由自治区として残った数少ない都市、ニューヨークでその巨大企業に刃向かうテロが起きる。

その巨大企業の頂点に立つ会長はもはや人間の域を超えた神のような存在。

それに立ち向かうブルースという名の一人の男。
実際には彼は立ち向かったわけでもなければ、テロを起こしたわけでもない。単に放浪していただけなのだが、テロリストなどには到底及ばない力を持っている。
こちらも神のような存在なのだ。

もはや漫画・劇画の世界を無理やり小説にしてしまったような本だ。

この巨大企業の会長とブルースという男が相対する場面がちょっと面白い。

このブルースの一族は古代エジプト、古代アッシリアの時代から世を騒がせていたというのだとか。
第二次大戦時の連合軍のドレスデンへの無差別攻撃は彼の父を葬るだめだった、とか。
ナチのユダヤ人狩りはブルースの一族を探すためだった、とか。
ナポレオンの敗北にもどうやら関与していたらしい。

壮大なスケールという謳い文句。
確かに地球の支配はおろか宇宙の支配に乗り出そうというコングロマリットは壮大という言葉に近いかもしれないが、その登場人物の持つ力は人間はおろか魔法使いなどもはるかに超えて、もはやなんじゃそりゃ、「何でもありかい!」の世界。

ちょっと活字の世界では難しそうな作品でした。