星の子


幼い頃、病気がちだった女の子が父の会社の先輩に薦められた水を飲んだところ、みるみる快復してしまった。
この一家ではそれが終わりの始まり。
父も母もその水にすっかり心酔してしまい、それを大量に購入するようになる。
また、その水を販売している団体にもすっかり嵌り、そこでの行事には必ず参加するようになって行く。
いわゆる、いかがわしい宗教団体というやつ。

小学校に上がってからも「アイツは変な宗教団体に入っているからな」と冷ややかな目で見られるどころか、いじめをなくす立場の教師からも「変な団体への勧誘をするなよ」などと白眼視されるのだが、一家はお構いなしだ。

姉だけはまともだったのか。
この家を飛び出して帰って来なくなる。

もちろん教団からのすすめなのだろうが、親はますます奇行が多くなり、仕事もおそらく首になったのではなかろうか。

この主人公の娘も成長していくにあたって、おかしい団体だと気付きはじめているのだが、自ら去ろうとはしない。

子ども視点でたんたんと話が語られて行くが、かなり重たいテーマだ。

星の子 今村夏子著