暗いところで待ち合わせ乙一


駅のホームから人が突き落とされ死亡。
そのホームから逃げて行く男が目撃される。

その駅のすぐ近所に目の不自由な若い女性が一人暮らし。

そこへ殺人犯かもしれない男が扉の開いた瞬間に転がり込んでくる。
男は部屋の片隅でじっと動かず、身をひそめる。
彼女は誰かの存在に気が付いてしまってはいるが、気が付かないフリをしている。

そりゃ、人が居るかどうかぐらい嗅覚に頼るまでも無く、温度変化に頼るまでも無く、
息づかいの音に頼るまでも無く、気配というものでわかるだろう。
物語の中では途中まで気が付かないことになっているが・・・。

気配どころか、自分に危害を加える人なのかどうなのか、も瞬時にわかってしまうのではないだろうか。

だんだんと彼女にとってこの無言の同居人は無くてはならない存在になって行く。

この話でも登場するのは、人付き合いの苦手な人。
ここへ隠れ住んでいる男がその典型。
仕事場でも無駄な付き合いを避けるがために、周囲から浮いた存在になってしまい、浮いた状態がエスカレートし、ほとんど嫌がらせを受ける状態に・・・・・。
まぁ、それでもなかなかそいつを殺したいとまではなかなか思わないものだとは思うが・・・。

目の不自由な彼女も出来ることならもう外など出たくない。
一人で暮らす事に慣れ過ぎてしまっている。
その二人が沈黙で同居し、お互いの存在を認め合っている。

そして人付き合いの苦手な人達はここでもやはり優しい人たちなのだった。

暗いところで待ち合わせ   乙一著

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