デモナータ1幕  ロード・ロスダレン・シャン


ダレン・シャン氏の2作目である。
1作目のダレン シャン はシルクドフリークというきっかいなサーカス有り。バンパイヤマウンテンでの攻防有りで楽しませてくれた。
ただ、タイニーとか言う神の様な存在を作って時空を自由に操れるなんてところは、ストーリーテラーとしてはいただけない。
結局なんでも有りになってしまってせっかく長い長い物語として積み上げたものを崩壊させかねない。

デモナータは待望の2幕「悪魔の盗人」が刊行されたので、1幕の紹介を早めにしてしまわないと時期を逸してしまうので大急ぎでUPしてもらう事にした。
「1幕 ロード・ロス」の魅力はなんと言っても、悪魔であるロード・ロスそのものの個性であろうか。
「ロード・ロスは人間の悲しみをむさぼる。人間の痛み苦しみを食べる。ロード・ロスにとって葬式はコース料理。自殺を考えている孤独な人間はおいしいおやつ。ロード・ロスは、人間の不幸な心が好きでたまらない」という人の苦しみ、災難、不幸を何よりも至福とする悪魔のロードロスが事もあろうにチェスが何よりも大好きでチェスの勝負の為ならフルコース料理並みの不幸も取引材料にしてしまうなどという一面。そして卑怯な事はせずに勝負は勝負らしく悪魔らしからず存外にいさぎが良い。
蜘蛛の様な手を自在に操り、一回の対戦で五つのチェス盤で同時に戦う、などと言う場面も面白い。
また主人公のグラブスの家系の持つ特異性も徐々にあらわになって行き、引き込まれるものがある。
人狼病が出て来た時、前作がバンパイヤで今度は狼男か?などと思ってしまったが、人狼病はストーリーの中ではほんの脇役の役割りでほっとした。
前作もこの作品も普通に暮らしていた男の子がある日を境にとんでもない世界へ踏み出して行くのだが、デモナータ(異次元の悪魔の世界)本体の姿はこの中には出てこない。
2幕を待つしかなさそうだ。(実はもう読んでしまったのだが)
しかし、家族が惨殺されるシーンにしてもどうしてまたこんな残虐なシーンのある読み物が人気を得てしまうのだろう。
本当に子供達が読んでいるのだろうか。
冒頭での姉に対するいたずらにしても、シャワー上がりのタオルにネズミのはらわたを仕込んで、血まみれにしてしまうなど、ちょっと常軌を逸したいたずらに思えてしまうが・・・・、案外そんなところに人気の秘密があったりして・・・・。

デモナータ 1 ロード・ロス デモナータ1幕 ダレン・シャン (著), 田口 智子 (イラスト), 橋本 恵 (翻訳)

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