流星の絆東野圭吾著
洋食屋を営む父と母を殺害された子供達。
その時の子供達、有明功一、泰輔は小学生、静奈は小学生前でしょう。
その三兄弟が主人公。
でも本当の主人公はハヤシライスなのかもしれません。
三人は事件当時、8月の定番流星のペルセウス座流星群を観に家を抜け出していて留守でした。
だからこそ子供達は助かったのか、帰った時には両親は殺害されていて、次男の泰輔が家から逃げ去る犯人とおぼしき人物を目撃し、顔もはっきりと覚えている。
三人はその家を出る時に大人になったら絶対に犯人をこの手で捕まえて・・と復讐を誓います。
事件から経過すること15年。
その間に功一、泰輔、静奈の三兄弟は、静奈が資格商法詐欺に引っかかった事を機に見事な詐欺師としての道を歩き始めています。
殺人事件でも15年経過すれば時効。
あくまでも刑法上の話ですが・・・。
テレビドラマでは功一が刑事に向かって言います。
「俺達には時効なんてないっすから」
弟、妹にも言います。
「警察なんかに頼ってどうなる。犯人が捕まったって、俺達は法廷の後ろから眺めているだけじゃないか」
この言葉を聞いた時に、功一は江戸時代ならぬ仇討ちを果たそうとしているのだな、と思ってしまいました。
ってそれ以上書くのはご法度でしょう。これからドラマを見る人にはネタバレになってしまいます。
現在テレビドラマが進行中です。
なかなか面白い脚色付けがなされています。
詐欺を行う場面などは有明功一演出・脚本の劇中劇として面白おかしく描かれています。
原作の中では緻密でこの人の言う事さえ聞いていれば間違いが無いと思わせるほどの完璧な功一も、ドラマの中では弟、妹から
「暗れー」
「気持ち悪りぃ」
「だから友達いねーんだよ」
などと言われ放題のキャラクター。
また詐欺に引っかかる人達も、そりゃ自業自得だわさ、と誰しも思ってしまうような演出がなされています。
ドラマが必ずしも原作をなぞるとは決まっていませんが、原作のラストはドラマを観た人からしてもそりゃないだろう、という結末です。
この程度の記述ではネタバレにはならないでしょう。
いずれにしろ、ドラマから入った人が原作を読むのは最終回が終わってからの方がおすすめです。
原作が先の人は原作にはない劇中劇やら三人の、特に弟の泰輔の突っ込みが楽しめるのではないでしょうか。
他にも、ご飯に納豆をぶっ掛けて、目玉焼きをのせて醤油をかける「林さんライス」。
酔っ払うとオカマ言葉になる萩村刑事(若い方の刑事)。
静奈や泰輔の芝居に見事に引っかかる妄想男の高山。
などなど。
原作では味わえない見どころ、楽しみどころがいくつもあるように思えます。
それにしても東野さん、ガリレオといい流星の絆といい、本にドラマにヒットの連ちゃんですね。
絶好調と言ったところですか。
それはともかく、冒頭にも書きましたが物語の主役はなんといっても ハヤシライス でしょう。
普段は全く興味をそそられることもなかった ハヤシライス ではありますが、これを読んでからコンビニへ行ったらなんとあるじゃないですか「流星の絆」という名の ハヤシライス のレトルト。
思わず買ってしまいました。