アナザー修学旅行


怪我やらなんやらで修学旅行に行けなかった3年生数人。
朝から学校で一つの教室に集められるが、授業があるわけではない。
修学旅行の代わりに奈良や京都の修学旅行コースのDVDを鑑賞させられる。

それにしてもまぁ、なんて真面目な中学3年生達なのでしょうね。
考えられない。
普通、修学旅行へ行けない状況なら、わざわざ学校へ出て来なくても、適当に遊んで過ごすんじゃないにかなぁ。
受験勉強に勤しみたい3年生なら、受験勉強にあてるだろうし、そんなことに興味の無い子なら、今どきなら自宅でゲーム三昧ですか。

いずれにしても真面目に学校へ出て来て、尚且つ校則を守ろうとするなんて・・。
校則からほんの少しはずれたことを行って遊ぶなんて、なんとまぁクソ真面目なこと。

修学旅行へ行けなかったのは、足を骨折した平凡な主人公の女子。
芸能人としてテレビドラマに出演しているため、旅先でファンに押し寄せられたら、との理由で取りやめた女子。
転校して来たばかりの女子。
直前に他校の生徒と喧嘩をして怪我をした男子。
児童養護施設から通っている男子と女子の計6名。

それに中学へ入学してからずっと保健室暮らしをしている男子1名が加わっての計7名。
皆が修学旅行へ行っているその数日間の間に、クラスもバラバラ。
ほとんど会話が成り立たないような集まりが、だんだんと一つにまとまって行くというお話。

児童文学の新人賞受賞作らしいが、なるほど、児童文学にならこういうお話がいいのかもしれない。

この人の作品を実際の中学生が読んだらどう思うのだろう。
大いに気になるところだ。

痛い小説だなぁ、と思われるのか。

感動しました、って思われるのか。

この小説の成否はまさにそこにかかっているのではないだろうか。

アナザー修学旅行 有沢佳映著  2009年講談社児童文学新人賞受賞作品