ハッピーバースデー命かがやく瞬間青木和雄著
これは児童文学です。
児童文学ですが、大人に読ませたくなる様な本です。
まだ十一歳の娘に「生まなければ良かった」
などと平気で言ってしまう親というのはどういう親なのでしょう。
幼い娘(あすか)はその言葉を聞いて声をなくしてしまう。
結局、あすかはじいちゃん、ばあちゃんの家へ静養しに行く。
自然の豊かな環境の中で優しい祖父母の言葉に助けられ、あすかはだんだんと心を取り戻して行きます。
じいちゃんはあすかに言います。
「おこるときは思いっきりおこれ。悲しいときは思いっきり泣け。がまんなんかするな」
数ヶ月後、あすかは声を取り戻し、これまでよりはるかに心の強い子供になって都会へ帰り、イジメの子供を救済し、イジメをしていた子供も救済し、養護学校で友達の誰も居ない表情の無い子供に笑顔をもたらし、その養護学校の先生までも励まし、最後までなかなか変わろうとしなかった父と母さえ最期には変えてしまう。
そう。あり得ない話なのです。
あすかの様な存在が居ればどんなにいいだろう、という夢物語です。
あすかは祖父の存在に助けられましたが、大抵の子供は親に傷つけられたらそのまま傷ついたままなのでしょう。
作者はこんな状況に子供達を親達が追いやっているのですよ、と訴えたいのでしょう。
給食費を払わない親が増えているのだそうです。給食費を払わないが文句だけは一人前どころか十人分の文句を学校へ言って来るのだそうです。
再教育が必要なのは親の方なのかもしれません。