三匹のおっさん有川浩著
いまどきの還暦は若い。
仕事はもちろん。草野球も草サッカーもマラソンだって若者より元気な人がどれだけいるか。
剣道場を経営していた人が還暦を迎え、同時に最後の教え子たちもやめて行き、とうとう道場は閉鎖に。
今時の道場はどこでも同じようなことが言えるのだろうが、小学生の教え子をいくら増やそうと、中学へ入る前にやめていくのだという。
同じやるなら、クラブ活動でやった方が内申書などにいい点がもらえるのだとか。
もっと極端な地域なら、小学校も6年になる前にやめていくとか。そう、中学受験だ。
師範のおじさん、幼馴染みの飲み友達と毎日飲むだけが楽しみになってしまったが、この三人なんと自警団のようなものを立ち上げようという流れになる。
日本で自警団は一般的ではないが、海外では自警団によって治安を守らなければならない国もある。
還暦のおっさん3人に何が出来るのか?いやはやそれがとんでもない連中なのだ。
この三匹のおっさんは。
一人は剣道師範。一人は柔道家。もう一人は腕力より頭脳。そして自ら改造した超強力スタンガンをふところに持つ。
この本この三匹が大活躍する物語。
かなり悪質な痴漢の撃退。
詐欺師の撃退。
芸能人になりたい女子高生を騙して脅して弄ぶ男の撃退。
孤独な老人相手の悪質商法に対抗・・・
などなど。
それまで、ジジイ呼ばわりしていた高校生の孫息子の態度がどんどん変わって行くのが面白い。
とうとう剣道をもう一度教えてくれ、などと。
それにスタンガンオヤジのあまりに真面目で素直でかわいい娘の親とのギャップも面白い。
いやはや、やはり団塊の世代はすごいものだ。
その団塊の世代が還暦を過ぎていくんだからなぁ。
これからの還暦を甘くみるとえらい目に合いそうだ。
くわばら。くわばら。