14歳 -Fight
この本、内容を読んでいくうちにかなり古い本だな、という事に気がつきます。
今時の中学生などが読もうものなら、
「だっせぇー」
「うざっ!」
「ちょっと痛いよ。この主人公」
などと言う声が聞こえて来そうです。
学級崩壊などというのはかなりの昔からあった話なのでしょうが、昨今は学校での暴力沙汰云々よりも不登校児童の多さの方がもっと問題の根が深い事を物語っているのでは無いでしょうか。
学校には番長連中が居て、などと言う分かりやすい構造はもはや現在のものではないでしょう。
その番長には取り巻きが居て、さらにそのバックには暴走族が居て、その更にバックには組関係の末端組織が居たりします。
「いじめ」と言っても暴力によるカツあげだけなので分かりやすい。
今の「いじめ」の本質まではもちろん知りませんが、この本での「いじめ」にはまず「シカト」というものが登場しない。
現在の「いじめ」の最たるものまず「シカト」でしょうし、携帯メールなどもはびこっておりますので、おそらくかなりの陰湿なものではないか、と想像してしまうのです。
そういう事を差し引いても、この主人公(生徒会長)の愚鈍なまでのひたむきさには何か心を打たれます。
ちなみに中学に生徒会って有ったんでしたっけ。
自分の頃を思い出してみてもその存在はまず思い出せない。
そして現在もそういう組織はあるのでしょうか。
それはさておき、何の因果か生徒会長になってしまった主人公は、喧嘩が強い訳でも自分の言いたい事をはっきり言うタイプでもない。
生徒会長になってまずやり始めた事は「タバコの吸殻拾い」。
次にやる事は「ポスター作り」。
「いじめ・暴力は許さない」というポスターを学校中に貼って行く。
即座にポスターには「目立つなよ!」と赤いスプレーでのなぐり書き。
目の字には安全カミソリが貼り付けてある。
そう、脅しです。
この主人公の面白いところはその反応を見て意気消沈するどころか逆に喜ぶところなのです。
「気にしてくれるやつらがいるんだ」と返ってわくわくしているところがちょっと常人では無いですね。
この本の時代では教師による暴力も日常茶飯だったようです。
教師が暴力でも振るおうものなら、「体罰教師」として速攻でマスコミに叩かれはじめたのはだいぶ以前の事ではなかったでしょうか。
主人公は二度目のポスターを貼り、教師に対しても暴力反対を訴え、開かれた生徒会室に、という事で、そこでコーヒーを飲むも良し、マンガを読むも良し。
と学校の雰囲気をどんどん変えて行ってしまい、ワルガキ共も仲間に誘い入れ、暴力の言いなりにはならないぞ、という空気を学校で一杯にして行く・・・ていうようなお話なのです。
一辺の清々しさは確かに残りますが、さて現在の学校に当て嵌まる類のものなのかどうか・・そのあたりは皆目分からないのであります。