フォルトゥナの瞳百田 尚樹


死の迫った人の身体が透明になって見えてしまう。
そんな能力が突如身についてしまった青年の話。

だんだんと見慣れて行くと、その透明度に応じておおよその死期までわかるようになる。元気そのものの若者で全く透明状態なら病死ではなく事故死だろう、とかおおよその想像がつく様になって来る。

もっとも、全く透明なら顔面が青白くて今にも死にそうな顔をしててもわからないんじゃない?などと瞬間思ってしまうが、やぼな突っ込みというものだろう。
運命は変えられないか?と青年は自問しながらも直後に事故死をするなら、話しかけたりすることで、一瞬、次の行動を遅らせたりすることで事故を免れるんじゃないか、とチャレンジしたりする。

ある時、そんな能力を持った人間が自分だけで無い事がある時、判明する。
その能力をもう何十年も持ったまま、何も行動をせずに知らん顔を決め込むのだという。
なんでも、その能力を使って人の運命を変え、本来なら死んでいるはずの人を救ってしまうと、その分自分の寿命が短くなってしまうのだという。

ならば、こんな能力など無ければ良かったのに・・・と自問する青年。

この物語の青年はどこかしら「永遠の0」の宮部少尉に通じるものがある。
未来のある幼い子供達が死んでいく、それがわかっていながら何もせずにいられるのか・・・。

百田さんはストーリーテラーとして、素晴らしい才能を持っておられる方。

「殉愛」をめぐってのトラブルがまだ続いているのだろうか。

一時は良くメディアにも登場されたのが、このところパッタリと登場されなくなってしまった。
メディアへの登場はどうでもいいのだが、せっかくの才能。
このまま埋もれさせていいわけがない。

もっともっと百田ワールドを見せて欲しいと願うばかりだ。

フォルトゥナの瞳 百田尚樹 著

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