レジェンドマリー・ルー著
自由の国アメリカの近未来がまるで中国のような情報統制独裁国家に!
全ての子供達は10才になると「審査」と呼ばれる試験を受けなければならない。
1500点満点のその審査で、1400点以上の高得点を取れば高級官僚でへの道が約束される。
合格ライン1000点を取らなければ、強制収容所送りになり、1000点から少し上だったとしても、それはかろうじて収容所送りにならなかっただけで世の下層階級で生き続けなければならない。
そんな試験で史上初の1500満点中1500点を獲ったのがジェーンという女の子。
飛び級で15才にして最高学府の勉学も終えてしまっている。
方や、その「審査」で落第した後、親からも死んだと思われるデイという少年。
賞金付きの指名手配中でありながら、軍事施設への攻撃やらの政府機関に対する強盗や襲撃を繰り返す。
行動は過激だが、決して死者は出さない。
計算されつくしている。あまりに華麗にやり遂げるため、逮捕は無理だろうと思われている。
エリート中のエリートのジェーンが、反乱分子のディを追う立場となって・・・。
「政府は国民の味方だ」と信じて来たエリートにとって、政府が群衆を取り囲んで銃撃する光景はどのように映ったことだろう。
作者のマリー・ルーは、天安門事件の時にはまだ若干5歳であったが、目の前で繰り広げられる惨劇ははっきりと目に焼き付いていると語っている。
民衆に銃を向ける国家とそれと闘う若者。
ありふれた設定かもしれないが、天安門事件を見て来た人が書いていると思うとそれなりの感慨がある。
ジューンとデイが交互に語り部となってテンポの良いこの本、なかなかに面白く一気に読みおおせること必至である。