黒笑小説東野圭吾著
東野圭吾にもこんなショート・ショートがあったんですね。
読後に知ったがあと何冊か出ているみたいだ。
中には星新一のショートショートのようなものから、星新一なら到底これは書かないだろうな、というものまで。
見る女見る女、全てが巨乳に見えてしまうという「巨乳妄想症候群」。
こういう事態は男性にとって羨ましい事態なのかどうなのか。
バイアグラの逆を行く薬の「インポグラ」。
こんなもの何の役にたつのか、誰が買うんだ、と思う商品がたちまち売れ筋商品に。
だいたい買う人の層は想像がつかなくもない。
それが、やがて売れなくなって行く。
そのあたりのオチがショートショートならではだろう。
計13篇の短編の内、本業である作家の業界の話、文学賞の受賞にまつわる小編がいくつかある。
選考委員の手抜きかなんかで新人賞に受賞してしまった男のとんでもない勘違い話。
笑ってしまうが、なかなかありそうな話でもある。
最もスタンダードなショートショートらしい話は「臨界家族」だろうか。
ある家族の購入を境に新商品の発売が決まって行く。
ビッグデータに紐ついた個人データが企業のマーケティングに活用されれば、こんな時代も来るかもしれない。