死に神のレストラン東万里央著
「ほっこり・じんわり大賞」受賞作とのことで読んでみました。
死に神のレストランって響きが悪い気がするが、そんな恐ろしいところではない。
不慮の死をとげ、この世にまだ思いを残している人がその店に入ることになっている、あの世とこの世の間にあるレストラン。
さすがに「死に神のレストラン」では響きが・・となったのか文庫版では「神さまのレストラン」に改題されたとか。
実は別物を私が勘違いしているだけかもしれません。
事故死の人の場合、その死者はまだ自分の死を受け入れていない。
婚約者とちょっとした喧嘩で結婚破棄を一旦口にしてしまった女性が、やはり仲直りをしようと彼のところへ向かう途中で事故死してしまう。
このレストランで一品だけ思い出の一品を注文することで、自暴自棄になった彼のところへ赴き、生きる元気を与えて帰って来てこころおきなく旅立つことが出来る。
そんな小編が何篇か。
ちょっと心が温まるような作品が掲載されている。
確かに「ほっこり・じんわり」にふさわしい。
不治の病を宣告された人なら、覚悟はできているかもしれないが、不慮の事故で亡くなった人の大半は何某かの心残りを残したままなんだろうな。
となるとこのレストランいつも満員御礼じゃないか、などと全然「ほっこり・じんわり」にふさわしくない感想を持った私の眼は曇っていること間違いない。