コーヒーが冷めないうちに川口俊和著
実に軽い読み物。
一時間程度で読めてしまった。
とある喫茶店の都市伝説にまつわる話。
特定の席に座ると過去に戻っることが出来るという。
但し、条件が厳しい。
過去に戻っても、その特定の席を立って移動すると、即座に現在に戻る。
その喫茶店を訪れた事のない者には会う事はできない。まぁ席から移動できない以上、当たり前と言ったら当たり前。
あと戻れる時間。
コーヒーをカップに注いでから戻り、そのコーヒーが冷めてしまうまでの間だけ。
それ以上、そのまま戻らないと、地縛霊のような幽霊になってしまう。
実際にその特定の席はいつも同じ女性が占有しており、使えるのは、一日一回その女性がトイレに行った時だけ。
で、その女性はコーヒーを冷ましてしまった幽霊なんだそうだ。
その喫茶店をめぐる四話。
・「恋人」
彼氏にフラれた女がそのフラれる瞬間に戻る。
・「夫婦」
認知症を患って、妻の顔さえ思い出せなくなった男の妻が夫の記憶のまだある瞬間に戻る。
・「姉妹」
旅館を営む実家を飛び出して来た姉と残された妹、妹は姉に会いに来るが、姉はなかなか会おうともしない。そんな妹に不慮の事故が・・。
その妹に会いに戻る。
・「親子」
この喫茶店のマスターの妻が妊娠。
しかしながら、病弱な妻は出産をしてしまうと自分の命が危うくなる。
出産を取るか、自分の命をとるかの選択肢を迫られた妻が過去ではなく、未来へと向かう。
ざぁーっと、かいつまんだ点だけを書きならべてみたが、感想は?と問われると、冒頭に書いた通り、なんて軽い読み物なんだろうの一点。
前宣伝が大きすぎて期待させられてしまうが、さほど泣ける話でもない。とにかく軽い。
タイトルのつけ方がうま過ぎるだろ。