恋物語西尾 維新著
あの傾物語でとことんカブいてしまってからの後も、作者のお約束通りに3月、6月、9月、12月とそれぞれ花物語、囮物語、鬼物語、で最後に恋物語と出版された。
それぞれのキャラクターが怪異から完全開放されて化物語が終焉して行くものだとばかり思っていた。
花物語では神原駿河のするがモンキーが終止符。
囮物語では千石撫子が終止符・・と。
鬼物語は忍の終止符で花物語で戦場ケ原に終止符がうたれるんだろう、と思っていたが、違った。
花物語では阿良々木君の卒業後が舞台でいきなり飛躍してしまって、傾物語の後にしては、少々肩すかしを喰らったような気分だったが、それなりに終止符。
囮物語では千石撫子が終止符のはずがこのキャラクターに最後の最後まで引っ張られた。
鬼物語は、第忍話 しのぶタイムなどとあるので、忍の終止符かと思いきや、これも違った。あにはからんや八九寺真宵の終止符だった。
少女不十分なんていう10周年記念なんかも間に入ってようやくこの花物語なのだが、なんでここに来て・・・。貝木泥舟が語り部だと。
終わる気ないだろ。
囮物語でメドウサならぬ怪異になったまま引っ張られていた千石撫子がここでようやく終止符なのだが、案の定、巻末にファイナルシーズンの予告の広告が・・。
どのあたりで、完結させるのを諦めたのだろう。
もともとそのつもりだったのか、
やっぱり期間区切ってなんてキツいノルマを自分に課しちゃうから・・。
いつの間にかこのシリーズ、セミファイナルって呼ばれてるし。
まぁ、作者も「100パーセント趣味で書かれた小説です。」って書いているし、読む方も楽しみが先延ばしになった、ということで構わないんですけどね。
冒頭の貝木泥舟の語り。
本に書いてある文章なんてすべてがペテン。
ノンフィクションと帯で謳っていようと、ドキュメントだのルポだのと銘打っていようと全てが嘘だ。
というくだり、なんとなく「少女不十分」にひっかけているような気がしなくもなかった。
わりと人物像が見えにくかった貝木泥舟の新たな一面を見せてくれた、という新鮮味はあるものの、どう考えたってこれでは終われないわなぁ。
やっぱり、ファイナルシーズンとやらもお付き合いするんだろうな。