ひりつく夜の音小野寺史宜著
読後即の感想としては、もうJAZZでお腹いっぱい、という感じかな。
そんなにJAZZに詳しいわけでも、ないのに。
主人公は40代後半のJAZZのクラリネット奏者。
ほとんど活動らしい活動はしておらず、週に数回教室で教える程度。
この本の前段からはかなり節約生活の知恵が満載。
豆腐はそのまま醤油もかけずに食べ、最後はパックの中に残った汁まで飲み干す。
平日の午前に行くバイキング、ここでの常連さんと後に親しくなっていくのだが、ここで2時間3時間かけてゆっくりと新聞を隅から隅まで読みながら、何度も何度も取りに行って、残さず食べ、その日の昼食は抜く。
彼の一番のお気に入りがに食パンにちくわを挟んだだけ、という昼食。
その彼が、昔の彼女の息子と知り合ってから変わり始める。
いきなり、警察から引き取りに来て下さいますか?
と本人と初対面の人に電話がかかって来るところも驚きだが、2回も引き取りに警察へ向かってしまう彼もかなりのお人良しだ。
その青年は、真っ直ぐなだけなのだが、その真っ直ぐさがトラブルを招くという危なっかしい男。
彼には天性のミュージシャンとしての素質が有り、彼の弾くギターに主人公氏のクラリネットも触発されて行く。
特に音楽に関係の無い人間にもこれだけ読ませてくれるんだから、JAZZ好きの人なんかにはたまらない一冊なんだろうな。