スコーレNo.4
宮下奈都さんの初の書下ろし単行本。
本屋大賞を受賞した「羊と鋼の森」とちょっと似ているところもあるかな。
主人公は骨董屋(古道具屋の呼び方の方が合っているか)の長女。
三人姉妹なのだが、幼い頃からずっと妹にコンプレックスを持っている。
妹は自分よりはるかに可愛いのだ、こんな時なら妹はどうするだろうか、とそんな思いのまま大人になっていく女性。
そんな彼女が就職したのは輸入貿易商社。
就職した直後から、系列の靴屋に出向に出されてしまう。
靴の大好きな人たちの中で、一人宙に浮いた存在。
特に敵というわけではないが、彼女が初めて体験する誰も味方が居ない世界。
そんな彼女がフェラガモの靴を履いた時から変貌して行く。
「羊と鋼の森」の調律師がどんどん自信をつけて行くように。
父の店で知らず知らずに養われていた骨董ならぬ物を見る目。
父の店でで知らず知らずに養われていた物を見せる力。
店のディスプレイでその力を発揮し始めてから彼女は変わって行く。
自らは靴を愛していない、と思いつつも誰よりもその良し悪しの目は持っている。
前半はなんでそこまで自分に自信が持てないのかなぁ、というもどかしさばかりが続くが、後半で自分の思うようにやってみるようになってから、話はがぜん面白くなって行く。
いいなぁ。
こういう話。
自信をという宝のお裾分けをもらえそうな気がする一冊だ。