神々の午睡


これって一神教の国じゃぁ、まず販売されない本なんだろうな。

有史以前のお話。
大神さまは百何十人の妻を娶り、三百何十人という子供を持つって、どれだけ精力有り余ってんだか。

大神の子供たちは全て箜(クウ)と呼ばれる存在となり、その中の一握りが神になる。
人間と神が身近な場所で共存していた時代の話が六編ほど。

雨を司る神に任じられた姉。
新たな神が誕生すると人々は祝祭を催す。
その祝祭の贈り物として祝祭に間に合わせるために命の削って神飾りを作る職人。
雨の神である姉は、その人間に恋をしてしまうという話。

いたるところに登場するのがグドアミノという美形の死の神。
死の神って、つまりは死神か。

風の神、沼の神、戦の神、音楽の神・・・などなどが登場するが、よくよく考えてみると全部腹違いの兄弟なんだよな。

「盗賊たちの晩餐」という話がなかなか良かったかな。
酒場で「穴倉」に集結したかつての盗賊達。
全盛期の仲間達は皆、捕まえられて牢獄に。
仲間を助け出さないことには引退する気にもならない。
牢獄破りを綿密に計画するにあたって、どうしても仲間に引き入れないといけないのが、その酒場で歌っていた若い娘。この娘を一人前に教育して風の神のサンダルを失敬し、それを使って仲間を助ける計画。

神に近付くための教育を施したこの娘、実は神だった。しかも盗むはずの・・・。

というような話。

あさのあつこさんのこういうジャンルははじめてだ。
元々こういうジャンルも書くんだったっけ。

現代ものではあきたらず、とうとう神話まで書いちゃった?