ほどらいの恋
短編集です。
田辺聖子さんの小説の登場人物はいつも関西弁。
軽快なリズムでお話は進みます。
表題のお話は、
結婚せぬまま、互いの都合の良いときに会って楽しい時間を過ごし、
互いにその関係に満足してきた大人の男女のお話。
でも女性のほうにお見合い話が持ち上がり、
女性は、今のままの関係を続けてよいのだろうか、
やはり結婚したいかも・・・などと考え始めます。
お見合い話が二人の関係の刺激になって、
それをきっかけにゴールイン!
とかがありがちですが、
このお話、そんなつまらない結末ではありません。
ほどらいというのは「ちょうどよい程度」という意味。
「ほどらいの恋」。
どんな恋でしょうか。
このお話を読みながら答えを探してみました。
正解はわかりませんが、
喜ぶ、怒る、悲しむ、楽しむ、憎む、考える、伝える、・・・などなど、
恋につきもののあらゆる感情、行動の程度がちょうどよいのかもしれません。
花火のようにドカンと打ちあがってパッと消える恋でもなく、
どろどろになるまで愛を追求する恋でもなく。
さらっとすっきり。
さらっとすっきりだけど
きっぱりはっきりではない。
どこか曖昧で腑には落ちないのだけれど、
その状態がほどらいだと気付いて、
二人の関係を大切にできる恋が「ほどらいの恋」。
大人の恋です。きっと。
猪突猛進、白黒はっきり派の私。
目指せ!「ほどらいの恋」です。